それでも飲まずにいられない
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ジョーさんと呼ばれる看板やがいた。
久し振りに、大きな仕事をしたのだが、集金がうまくゆかず、困りはてていた。 ある日、らちがあかないので、四谷の事務所へ直接催促に向かった。 「 いやぁ、悪い、悪い、明日、払うから、明日! 」 社長は、太った体を揺すりながら出てきた。 「 まあ、まあ、ちょつと一杯やろうよ! 」 近くの居酒屋へ誘われた。 軽く飲んだ後、社長は、三千八百円の勘定を、小切手で払をうとしたが、当然、 断られた。しかたなく、ジョーさんが立て替える事になってしまった。 「 悪いねえジョーさん、明日払うから、明日、何もかも全部ねっ!明日 」 翌日、朝一番、集金に向かった。 事務所のある高級マンションの玄関の前で大きなトラックが荷積みをしていた。 「 えーっ、社長、引っ越しですかあ? 」 「 んっ、家族を新潟の実家に帰すんだ、しばらく、ひとりで仕事やるよ! 」 「 あのー、集金ですけど? 」 「 わかってるって、昼までに、荷づくり終わるから、昼過ぎ、もう一度来てよ、悪いねえ 」 荷積みを見ていたジョーさんは、締めの甘い部分のロープを力強く 締め直してあげていた。 昼過ぎ、再び事務所へ上ったが、「 もぬけのから 」誰もいない部屋に、 小切手が散らばっていた。 PR
若い男と飲むのが好きな、中年のボイラーマンがいた。
特に学生が好きだった。 店で出会った青年に話しかけては、友達になってゆく。 男は、店では、芸達者で人気者だった。 「 お花見会 」 などの宴会の時、ストリップショーを必ず披露していた。 女装用のかつら、下着、衣装、小物、バックミュージックと完備している。 カエル腹の裸踊りには、へきへきするのだが、仲間たちは、宴会のたびに リクエストした。 男は、新興宗教に狂った女房と別れ、今、ひとりアパートで暮らしている。 男は、女の客と話することは、ほとんどなかった。 ある日、突然、男が、脳内出血で倒れた。 左半身不随になってしまった。 ひとりで外出することもできず、日常生活にも困る状態になった。 今、男は、同じアパートに住む、青年の世話になっている。 青年は、男が元気だった頃、いつも連れだって飲み歩いていた。 そんな時代への感謝の気持ちか、世話を始めて五年になるという。 男には、息子が一人いるのだが、あまり顔を見せることはないそうだ。
顔見知りの警察官が、巨体を揺さぶりながら、もつ焼きを喰っていた。
今日は、非番なので、パチンコの帰りなのだろう。 カウンターの脇に、景品交換の残り物、チョコレートが三枚置いてある。 男は、何故か、もつ焼きは、二本しか喰わない。 男は言う、 「 俺の好物は、赤貝、アワビ、ホタテ、みる貝、つぶ貝、女に近い物だっ! 」 百キロを超す巨体なのだが、話す言葉が弱々しく、何を言っているのか聞き取れない。 酒を飲んでいる時の警察官ほど、騒がしい者は、いないと思っていたので、 この男の姿には、心地よく裏切られていた。 「 おまわりさん! 」 と呼んだほうが似合う、気の弱い男で、 上司の悪口も、ぼそっ、ぼそっ、と物悲しい。 「 又、始末書、書かされちまったよ、俺だけの責任でねえのによォー、 課長は、すぐ俺に・・・・・ 」 小さな交番を、ぐるぐる回っていた人だったので、駐車違反かの取り締まりで、 チョンボでもしたのだろう。 「 俺、先週、お見合いしたんだ、やっぱ駄目だったんだけど・・・・・・・・ 太ってるから嫌われるんかなあ? 一軒家、買う契約したばっかなのによォー・・・ 」 男は、12回目のお見合いの帰りだった。 |
プロフィール
HN:
村上かつみ
HP:
性別:
男性
職業:
イラストレーター
趣味:
酒
自己紹介:
酒ばっか飲んであまり
仕事しないイラストレ ーターなので、気が引 けています。 アイルランドへパブ百 軒めぐりの旅に出かけ たり、リスボンで、赤 ワインに抱かれエクス タシーに達したり、ブ ータンで稗・粟焼酎を 飲んで、大漁節を踊っ たり。と・・・ いつも、酒飲む口実を 考えながら暮らしてい る。さて、0,5ミリ のサインペン切れたの で、街へでるか!
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