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それでも飲まずにいられない
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学生時代の仲間達と「ふぐ料理」での宴会が企てられた。みな30男になった頃の話である。
初めて「ふぐ」を食べる男が、三人いた。 「ふぐ」は、あまりに、自分の金で喰うには高すぎた。誰かに喰わせてもらう代物だと思いこんでい た。 参加者の中に、「蛸」が事の他好きな男がいる。なにせ「タコ」さえあれば、ニコニコして、演歌を口 づさみながら、いつまでも飲み続ける。 この男が、「ふぐ」に目覚めてしまった。 「 くーっ、 ふぐって、おいしいねぇー 」 「 でも? この刺身、薄すぎない? 透けて見えるじゃん、ケチくせえ切り方だなあ・・・・・ 」 調理の仕方が男には、不服らしい。 「 でも、うまい! この皮もいいねえ! 」 幹事が急に立ち上がり、叫んだ! 「 皆さん、これから「ふぐちり」が出ますが、「ふぐ」ばっか食べないでください!大人なんだから 野菜も食べるよう、お願いしまぁーす。 」 男は、「ふぐちり」も気に入った様だった。もみじおろしをたっぷりと入れたつけ汁に浸して、うれし そうに食べている。 突然、仲間の大きな声が飛んだ! 「 オイ! ふぐばっか喰うなよなっ! 」 「 えっ、 俺、白菜喰ってんだよーー・・・・ 」 「 何言ってんだよ!さっきから、白菜の下に、ふぐ隠して喰ってばっかいるじゃん! 」 「 げっ、お前、見てたの? ごめん、ごめん 」 男の膝の上に、ふぐの小骨が、しっかりへばり付いていた。 PR
寿司屋にきて、何も食べずに、ひたすらビールだけ飲み続ける男がいる。
男は、昔、ビール会社で、酵母菌の研究をしていた。 「 そうです、私は酵母博士です。 」 と、ビールグラスを一気に飲み干した。 店の親父は、何も喰わないので、お通しさえ出さない。 寿司屋のカウンターで、ビールだけ飲んでいる姿は、酵母菌そのものだった。 男は、北陸の、ある汽船会社の令嬢と結婚していたので、金に困る事はなかった。 金が無いから喰わないのではなく、この店で、何も喰わない事が重要だった。 議論好きの親父と男は、いつも、つまらない事で、論争を繰り返していた。 ノーベル賞取った、いや取ってない、で、もめ始める。 どちらも後に引かない、結論を出す為、真夜中の新聞社に確認の電話をする。 親父が正しかった。 「 あんたは、博士様かもしんないけど、俺だって、俺だって物事知ってんだから、 馬鹿にすんなよなっ! 」 目をむいて、男にくらいついた。 汽船会社の養子様は、四本目のビールの代金を、カウンターの上に、静かに置いた。
背中に刺青を刻んだ男が、三十歳年下の愛人に、
小さなスナックを仕切らせていた。 ママは、秋田県出身で、色白、ポッチャリとした、美人ではないが、 愛らしい、心根の良い人だった。 底抜けに明るい人だったので、客達の人気は抜群だ。 客達は、なんで、あんなヤクザの爺さんとくっ付いてんだか、不思議がっていた。 常連の一人に、いつもカウンターの奥で静かに飲んでいる男がいた。 客達と会話を交わすことも少なく、ましてカラオケなどは歌わない。 青白い顔した、二枚目風の男で、ニコニコして客達の「馬鹿っ話」を、ただ聞いている だけの人だったので、皆に好感を持たれていた。 区役所の職員らしい。 男は、我々より先に、店を出る事はなかった。 かなり酒が強い男なんだなと、軽く流していた。 しばらくして、私は、街で、刺青の爺さんに、バッタリ出会った。 「 ママの噂、聞いてない? 」 「 えっ? なんの事ですか? 」 「 あの野郎! 男と逃げやがった! 」 「 え~っ、 ホ、ホントですか? ・・・・・・・・ 」 カウンターの隅にいた、青白い公務員と駆け落ちしたのだ。 この話で、一番喜んだのは、店の常連客だった。 良くやった! バンザイ! バンザイ! バンザイ! |
プロフィール
HN:
村上かつみ
HP:
性別:
男性
職業:
イラストレーター
趣味:
酒
自己紹介:
酒ばっか飲んであまり
仕事しないイラストレ ーターなので、気が引 けています。 アイルランドへパブ百 軒めぐりの旅に出かけ たり、リスボンで、赤 ワインに抱かれエクス タシーに達したり、ブ ータンで稗・粟焼酎を 飲んで、大漁節を踊っ たり。と・・・ いつも、酒飲む口実を 考えながら暮らしてい る。さて、0,5ミリ のサインペン切れたの で、街へでるか!
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