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それでも飲まずにいられない
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春が始まりかけた夕暮れ、ゴルフ帰りの四人組が、
いつもの居酒屋で、反省会を始めた。 酒場で語る言葉は、「 ゴルフの話 」 のみ、だった。 その中に、シングルプレイヤーに近い男が二人いた。 ゴルファーにとって、シングルハンデは、夢、憧れの世界なのだ。 「 20年以上ゴルフやってんだから、そろそろシングルになりたいなぁ・・・・ 」 「 なれますよ、最近調子いいんだから・・・・ 」 「 そうかなぁ? 自分自身に厳しいプレッシャーかけないと、駄目かなぁ・・・・ 」 シングルに近くなっては遠のき、足踏み状態が続いていたので、ちょっぴり自信を 失っていた。 「 よしっ、皆の前で、はっきり宣言する、親父さん!紙とペン貸して! 」 男は、誓約書を書きだした。 今年中に、シングルになれなかったら、皆様をゴルフに招待します。と・・・・・。 酒の勢いもかりて、男は、書いてしまった。 その年の暮、我々は、ゴルフ招待を、うれしく受ける事になった。 年が明けて、もう一人のシングル病の男が、又、又、酒の勢いをかりて、誓約書を 書いてしまった。俺なら、やれると。 酒の勢いは怖いもので、二枚目の誓約書が、又、酒場の壁に貼り付けられた。 もちろん、その年の暮、我々は、又、ゴルフ招待を受ける事になった。 さて、来年の誓約書は、誰に? PR
タクシー会社の社員専属の理髪師がいる。
組合事務所の休憩室に、店を出している。 なんのことはない、建築現場で使うブルーのビニールシートの上に、 鏡と丸椅子を置いただけだ。 運転手の人達が、時間を見つけては、散髪に来るのだ、特別低価格で。 男は、八年程前、女房に逃げられて、今、ひとりアパートで暮らしている。 酒が原因だったらしい。 床屋が、仕事帰り、必ず寄る酒場がある。 夕食がわりに、一杯やってゆくのが日課になっていた。 男は、野菜が大嫌いで、刺身のつまさえ、皿から取り除いて食べている。 小皿に、トンカツソースを注ぎ、ペチャ・ペチャなめながら飲むのが好きだった。 女形のような話し方をする人だが、酔ってくると大豹変する。 目が座り、口数が少なくなる、こうなると、店中に、警戒警報が流れる。 「 俺、 これ、 持ってるもんねぇ・・・・・ 」 道具入れのチャックを開けて、青光りする剃刃をチラつかせ、刃先をすっと、 なでている。 この状況になると、レジが忙しくなってくる。 鏡に映る男の姿を、横目で見ながら、客達は帰りを急いだ。 しばらくして、男のアパートが全焼した。 不審火で、まだ原因がつかめない。 何故か、道具入れ、だけが残ったそうだ。
築地の魚市場で働く、経理マンがいた。
男は、いつも、文庫本を読みながら、チビリチビリ日本酒をなめていた。 活字が「つまみ」になっているのか、本から目を離すことはない。 ある日、手帳から新聞の切り抜きを、得意げに引き出し見せた。 男が、スポーツ新聞に投稿して採用された、コラム記事だ。 サラリーマンの哀歓を表現したそうだ。 原稿料三千円もらったと、うれしそうに笑っていた。 「 ボクはねぇ、秘密の話なんだけど、市場の積み荷、わざと崩して、魚を傷物に するんだ、それを安くたたいて買うんだよ、女房喜ぶし、すごい技だろっ! 」 と ニヤッと笑って、本に目を落とした。 男は、何故か、勘定を払う時、硬貨でしか払わない。二千円、三千円でも、全部硬貨で 払っていた。 大きな小銭入れが、いつも脹らんでいた。 ( もしかして、 自販機荒らし・・・・・・・? ) しばらくして店へ行くと、ママが怒っていた。 何回分かの飲み代、踏み倒されたそうだ。三千数百円という。 顔を見せなくなって、ひと月近くなるという。 家庭を崩して、花となったか? パチンコの玉が、カウンターの下で、静かに動きだした。 男が好んで座っていた丸椅子の足元へ。 |
プロフィール
HN:
村上かつみ
HP:
性別:
男性
職業:
イラストレーター
趣味:
酒
自己紹介:
酒ばっか飲んであまり
仕事しないイラストレ ーターなので、気が引 けています。 アイルランドへパブ百 軒めぐりの旅に出かけ たり、リスボンで、赤 ワインに抱かれエクス タシーに達したり、ブ ータンで稗・粟焼酎を 飲んで、大漁節を踊っ たり。と・・・ いつも、酒飲む口実を 考えながら暮らしてい る。さて、0,5ミリ のサインペン切れたの で、街へでるか!
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