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それでも飲まずにいられない
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 酒代を稼ぐ為に、草野球のアンパイアをやっている男がいる。

 三試合、受け持つと、一万円ぐらいになる。

 日曜の夜、陽に焼けた顔を輝かせた男は、審判服姿で、酒場へやってくる。

 「 フーッ 、 今日、暑かったなぁ! 」

 「 ん、 生 大!! 」

 「 くーっ、 う うまいっ!! 」

 この一口のビールの為に、真夏のグランドを駆け回ってきた。

 この男は、今、ジャガイモ・トウモロコシ・ホッケは、絶対に喰わない。

 北海道での、貧しかった少年時代を思い出して、辛くなってくるそうだ。

 それらを食べている客がいると、いちいち

 「 そんな物、 喰うなっ! 」 って、ケチをつける。

 酔ってくると、このジャガイモ男は、「男爵」になってくる。

 「 オイ! お前、 なんだよっ、 その態度! 」

 「 バカヤロー、 生意気言うなっ! 」

 「 二度と、こんな店来っかぁ! もうすこし、ましな物出せ! 」

 望郷の涙が、歪んだ「からみ酒」になってゆく。

 しばらくすると、ジャガイモ男は、客達から

 「 退場!! 」 と、ジャッジされた。

 ホッケの目が、小さく光って、閉じた。
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  子供をベビーホテルに預けて、酒場に来る女がいる。

  夫は、映画関係の仕事で、家を留守にする事だ多かった。

  三才の娘と二人、家にいると息がつまってくるそうだ。

  「 私ねぇ、本当は、子供嫌いなの・・・・ 」 と、太った体を揺すりながら、生ビールを

  グイッと飲み干した。

  女は、小さな子供をホテルに預け、どんな宴会でも参加していた。

  そして、必ず、深く酩酊していた。

  まわりが心配する程の酔いだった。

  まだ、30を出たぐらいの歳だったので、それぞれの宴会で、ホステスとして

  珍重されていた。

  女が疲れた顔をして、入ってきた。

  「 おじさん、生大ちょうだいっ! 」

  パチンコで大負けしたらしい。

  「 フーッ、私ねぇ、結婚なんか、したくなかったの、旦那がしつこくてねぇ、

  しかたなく・・・・・・どうにもこうにも・・・・・・・ 」

  「 私の旦那、12才も年上なのよ、おじさんだもん、何かちょつと、考え方も

  ちがうのよねぇ・・・・・ 」

  「 子供の教育の事だって、私、あんまり苦労させたくないから・・・・・私立幼稚園

  からエスカレートで進学、でも、旦那は、ちがうのよねぇ・・・・・・ 」

  おじさん! コブクロ、塩で二本ちょうだい!

  「 何か、ちがうんだよねぇ、生活は心配ないんだけど、何か・・・・・・・ 」

  「 男でも作ろうかな・・・・・この体じゃ無理かあ ハハハハ・・・・ 」

  4杯目のジョッキをあけた。

  「 そろそろ、ホテルに子供とりに行かなくっちゃ! 」

  おじさん!  お勘定してえ!
  駅前の酒屋に、スタンドバーがある。

  なんのことはない、裏口に立ち飲みスペースがあるだけ。

  酒は小売価格。つまみは、店内で売っている缶詰や乾き物。グラス、調味料は

  貸してくれる。

  こんな処にも常連がいる。

  たとえば

  「 俺は、女学生のアイドルだっ! 」 と、叫びながらやってくる男。

  黒のソフト帽をかぶり、よれよれの黒のスーツを着て、何故か白い手袋をしている。

  男は、ニコニコしながら、客達に声をかけて回っている。この「スタンドバー」のボスだ。

  今、夕方の買い物時なので、私達の脇を女達が行きかっている、横目でにらみながら。

  男は呟く、

  「 俺のつまみは、ウロついている女達の姿だっ! フーツ、風が変わってきたなあ、

  そろそろスカートも短くなって、つまみもキラキラ光ってくる、夜が楽しくなる季節が

  やってくるよ・・・・・・・・・   」

  男は、焼酎のグラスを喉を鳴らして一気に飲み干した。

  そして、静かに、暮れ行く空を見上げた。

  手袋の白さが春風に舞い、黄色のビールケースの上に落ちてきた。


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プロフィール
HN:
村上かつみ
性別:
男性
職業:
 イラストレーター
趣味:
自己紹介:
酒ばっか飲んであまり
仕事しないイラストレ
ーターなので、気が引
けています。
アイルランドへパブ百
軒めぐりの旅に出かけ
たり、リスボンで、赤
ワインに抱かれエクス
タシーに達したり、ブ
ータンで稗・粟焼酎を
飲んで、大漁節を踊っ
たり。と・・・
いつも、酒飲む口実を
考えながら暮らしてい
る。さて、0,5ミリ
のサインペン切れたの
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