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それでも飲まずにいられない
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 あちこちの店で、酔い潰れては、老妻に迎えに来てもらう八十六才の老人がいる。

 先頃、道のまん中で、酔い潰れて、街は大騒ぎになったそうだ。

 男は、警察署長だった。今、その面影は、まったくない。

 酔った足取りで、署長が入ってきた。

 何軒目なのか、かなり身体がくずれていた。

 「 オイ! 酒くれ、酒! ウイッ・・・ 」

 「 だいじょうぶですか? かなり酔ってるし、もうやめたら? 」

 「 うるせぇー、 一杯だけ、一杯! 」

 「 ほんとに、一杯だけですからねっ! 」

 盃に口を付けるのだが、もう飲み込む力はない。

 「 寿司、喰いてえなぁ、寿司  ウイッ 」

 「 うちは、居酒屋だよ、居酒屋! 」

 「 マグロあるだろっ? マグロ、ウイッ! 」

 「 赤身ならあるけど、すし飯ないよっ 」

 「 それでいいっ! それ、 くれっ! 」

 しかたなく、親方は、握り寿司を作りはじめた。

 「 ここは、 居酒屋だっ て言うのに・・・・・・ 」

 大きめの、にぎり寿司がでてきた。

 署長は、飯つぶを、ボロボロこぼしながら、うれしそうに食べていた。

 「 おいしいかい? 」

 「 うん、 うまいよ・・・・・ 」

 署長の眼がうるんでいた。

 ガラッ!・・・・・犯罪者を子に持つ母のように、目を伏せ、老妻が迎えにきた。
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   お通夜があった。友人の父、90才の大往生である。

 学生時代から、大変お世話になった人だったので、

 我々の仲間達も10人ほど参列することになった。

 町内の役員を歴任してきた男の通夜は、歴史を感じさせる、

 大きな斎場で行われた。

 焼香も終わり、柩の前に座っている友と目で挨拶を交わし

 お清めの場所に移った。

 町内の、お手伝いの小母さんに案内され、我々は、料理が豊かに盛り付けられた

 奥のテーブルに陣どった。

 お互い久し振りの顔合わせだ。

 献杯のグラスが重なるにつれ、「友人の父の話」が「仲間話」に、化けて行く。

 刺身あり、お寿司あり、てんぷら、煮物、飲み物はなんでも有る。

 我々にとって、年に一度あるかないかの、夢の様な豪華絢爛たる宴だ。

 盛り上がらない、はずがない!

 「 今、お通夜なんだぞ! 」 と、心に言い聞かせるのだが、湧き上がる歓喜の勢いを

 抑えることが出来ない。みんな、必死で喜びを抑えている。

 昔話の「喜劇」が、場所もわきまえず、駆け巡る。

 「 飲み放題! 喰い放題! 」 いいぞ! いいぞ! ドン、ドン、ドン!

 お通夜が、クラス会になってゆく。笑い声がテーブルから漏れ始める。

 誰が見ても、不埒な集団でしかない、恥知らずが喪服を着てカラス踊りをしている。

 私達は、力強く、飲み続ける、もう、どうにも止まらない。

 見ると、割烹着姿の、お手伝いの奥さん達が、柱の陰からジ―ッと、

 白い目で睨んでいた。

 仲間の一人が、二次会の場所探しに駈け出した。

 二次会の席で、誰かが言った。「 次のお通夜が、待ちどうしいなあ! 」



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プロフィール
HN:
村上かつみ
性別:
男性
職業:
 イラストレーター
趣味:
自己紹介:
酒ばっか飲んであまり
仕事しないイラストレ
ーターなので、気が引
けています。
アイルランドへパブ百
軒めぐりの旅に出かけ
たり、リスボンで、赤
ワインに抱かれエクス
タシーに達したり、ブ
ータンで稗・粟焼酎を
飲んで、大漁節を踊っ
たり。と・・・
いつも、酒飲む口実を
考えながら暮らしてい
る。さて、0,5ミリ
のサインペン切れたの
で、街へでるか!
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