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それでも飲まずにいられない
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 背中に刺青を刻んだ男が、三十歳年下の愛人に、

 小さなスナックを仕切らせていた。

 ママは、秋田県出身で、色白、ポッチャリとした、美人ではないが、

 愛らしい、心根の良い人だった。

 底抜けに明るい人だったので、客達の人気は抜群だ。

 客達は、なんで、あんなヤクザの爺さんとくっ付いてんだか、不思議がっていた。

 常連の一人に、いつもカウンターの奥で静かに飲んでいる男がいた。

 客達と会話を交わすことも少なく、ましてカラオケなどは歌わない。

 青白い顔した、二枚目風の男で、ニコニコして客達の「馬鹿っ話」を、ただ聞いている

 だけの人だったので、皆に好感を持たれていた。

 区役所の職員らしい。

 男は、我々より先に、店を出る事はなかった。

 かなり酒が強い男なんだなと、軽く流していた。

 しばらくして、私は、街で、刺青の爺さんに、バッタリ出会った。

 「 ママの噂、聞いてない? 」

 「 えっ? なんの事ですか? 」

 「 あの野郎! 男と逃げやがった! 」

 「 え~っ、 ホ、ホントですか? ・・・・・・・・ 」

 カウンターの隅にいた、青白い公務員と駆け落ちしたのだ。

 この話で、一番喜んだのは、店の常連客だった。

 良くやった!  バンザイ!  バンザイ!  バンザイ!


 
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村上かつみ
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職業:
 イラストレーター
趣味:
自己紹介:
酒ばっか飲んであまり
仕事しないイラストレ
ーターなので、気が引
けています。
アイルランドへパブ百
軒めぐりの旅に出かけ
たり、リスボンで、赤
ワインに抱かれエクス
タシーに達したり、ブ
ータンで稗・粟焼酎を
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