それでも飲まずにいられない
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ギネスを小脇に置いて、私は、きり絵を作り始めた。
マスターが、何事かと私に近寄ってきた。 「あなたの顔を作るんです!」 男は、首をすくめた。 ボーイが私の手元をじっと見つめている。 黒紙の切れ端が飛び散るたびに、彼は、「さっ!」と、取り去る。 私は、「ふっ、ふっ」と、切れ端を吹き飛ばしながら紙を切ってゆくので彼も忙しい。 そんな事してくれなくてもいいのだが、断ることもできず手は動く。 完成すると、マスターは、ニコっと笑いながら大事そうに壁に貼ってくれた。 額がやわらかく光っていた。 私は、恥ずかしさを吹き払う為に、三杯目のギネスを注文した。 マスターは、来る客、来る客に、「こいつが、紙を切って作ったんだ!」と 得意げに説明している姿を見ていたら、何故か寂しくなってきた。 こんな事は、もうやめようと思いながら、ショルダーバッグを引き上げた。 PR |
プロフィール
HN:
村上かつみ
HP:
性別:
男性
職業:
イラストレーター
趣味:
酒
自己紹介:
酒ばっか飲んであまり
仕事しないイラストレ ーターなので、気が引 けています。 アイルランドへパブ百 軒めぐりの旅に出かけ たり、リスボンで、赤 ワインに抱かれエクス タシーに達したり、ブ ータンで稗・粟焼酎を 飲んで、大漁節を踊っ たり。と・・・ いつも、酒飲む口実を 考えながら暮らしてい る。さて、0,5ミリ のサインペン切れたの で、街へでるか!
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