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それでも飲まずにいられない
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 ある夜、総会屋系組織の忘年会に出席する事になった。

 黒塀に囲まれた、新橋の料理屋だった。

 事知らぬ私は、三面記事を覗き見する気で、軽く出かけていった。

 すると、玄関には、品のない派手な背広を着た海坊主がたっていた。

 「 先生! どうぞ! 二階になってます! 」

 私は、この男に、先生と呼ばれる立場になかったので、面喰らってしまった。

 二階の宴席に、尻ごみしながら、そろそろと入った。

 まずい事に、私は、上座の真正面の席に、つい座ってしまった。

 この場所では、組織の会長と正対してしまうのだ。

 「 しまったぁ! 」

 宴会が会長の挨拶から始まった。

 思った通り、会長は、真正面に座った私に向って任侠道を語り始めた。

 視線と指先が飛んでくる。

 「 そうだろう? 君っ! 」

 私に指先が向く。私の頭は、そのたび沈む。

 「 今の ニッポン国は・・・・・ 国民の未来に対し・・・・腐りきった政治家の・・・・で、

   共産主義に対抗した・・・・・・我われの・・・・・・だっ 」

 私の頭は、もうタイタニック状態だ。

 乾杯が終わり、飲みはじまった。

 私は、混乱した頭をしずめる為に、ビールを一気に飲み干した。

 来賓の挨拶など耳に届かない。

 盃を持った瞬間、海坊主がすっ飛んで来た。

 「 先生、どうぞ、一杯! 」 と酒をつぐ。

 タバコを口にくわえると、火が飛んでくる。

 私は、苦しいので、盃をやめて、コップ酒にした。これなら、ちょこ、ちょこ

 飛んでこれないだろう。

 私は、男達の視線からはずれる事だけに集中した。

 当然、この夜の酒は、「酔い」を持ってこない。

 いくら飲んでも水だ、水だーっ。

 酒が水になってしまったーーーっ。

   
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村上かつみ
性別:
男性
職業:
 イラストレーター
趣味:
自己紹介:
酒ばっか飲んであまり
仕事しないイラストレ
ーターなので、気が引
けています。
アイルランドへパブ百
軒めぐりの旅に出かけ
たり、リスボンで、赤
ワインに抱かれエクス
タシーに達したり、ブ
ータンで稗・粟焼酎を
飲んで、大漁節を踊っ
たり。と・・・
いつも、酒飲む口実を
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