それでも飲まずにいられない
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小さな赤ちょうちんが、ポツンと吊り下げられた小料理屋がある。
建物も古く、家屋の一部が店になっていた。 薄暗いカウンターの前には、サザエさんの母「ふね」さんに良く似た、68才の 女将さんが、エプロン姿で立っている。 客達からは、「サザエさんの店」と、呼ばれていた。 人通りの少ない処に店があるので、客達で満たされることはなかった。 先頃、整備工場の社長が、脳いっ血で倒れた。 今、近くの病院に入院している。 常連のボスでもあった社長と女将は、いつも、カウンターの隅で、 小唄など口づさみながら、盃を交わしていた。 まるで、時間を逆回しした、恋人同志の密会そのものだった。 貧しい小料理屋なのだが、何故か、珍重されている「鯨のベーコン」が、 いつも置いてあった。 社長は、この鯨のベーコンが好物で、ぐい呑みの前に、毎夜、飾りつけられていた。 今、私の前にも、鯨のベーコンが光っているが、 「ふね」さんの言葉は、海に沈んでいた。 PR |
プロフィール
HN:
村上かつみ
HP:
性別:
男性
職業:
イラストレーター
趣味:
酒
自己紹介:
酒ばっか飲んであまり
仕事しないイラストレ ーターなので、気が引 けています。 アイルランドへパブ百 軒めぐりの旅に出かけ たり、リスボンで、赤 ワインに抱かれエクス タシーに達したり、ブ ータンで稗・粟焼酎を 飲んで、大漁節を踊っ たり。と・・・ いつも、酒飲む口実を 考えながら暮らしてい る。さて、0,5ミリ のサインペン切れたの で、街へでるか!
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